この記事で分かること
- 属人化の解消がうまくいかない、3つの理由
- 手間がかかる所と、属人化している所はなぜ違うのか
- AIで解ける所と、解けない所の見分け方(催促は解けません)
- 標準化より先に、見えるようにしておくこと
属人化の解消がうまくいかない理由は、3つに分かれます
マニュアルは作った。手順書もある。それでも人によって仕上がりが違う。ベテランは気づくことを、2年目は見落とす。休みも取りにくい。あの人が辞めたらどうなるのか、考えたくない。
やることは分かっているのに、解消できない。そういう会社を見ると、理由は次の3つのどれか、または全部でした。
理由① 手順が「見に行くもの」になっている
マニュアルは、たいていフォルダのどこかに置かれます。そして見に行かれません。
- 手順が決まっていない(誰が教えるかで、内容も順番も変わる)
- 教えた内容が残らない(口頭で終わる)
- 伝わったかを確かめる場がない(差し戻されて初めて分かる)
探して見に行く形のままだと、忙しい日に必ず抜けます。忙しい日ほどミスが出ます。覚えてもらうより、作業の途中でその場に出てくる形にするほうが続きます。
理由② 手間がかかる所と、属人化している所が違う
いちばん時間がかかる作業を直そうとするのは自然です。ただ、そこはすでに手が打たれていることが多いです。
会計事務所の業務を工程に分けて眺めると、こうなっていました。
| 工程 | 状況 |
|---|---|
| 記帳・仕訳 | 時間はかかるが、専用のサービスに出せば1〜数営業日で返ってくる。AIで作り直す意味が薄い |
| その手前:届いた資料が何月分で、何が足りないかの突き合わせ | 道具が無く、人が毎回頭を使い直している |
| その後ろ:説明、相談、引き継ぎ | 道具が無く、ベテランの頭の中にある |
手間がかかる作業は、誰がやっても同じ結果になるものが多いので、外注やソフト化が進んでいます。属人化が残っているのは、人が頭で判断していて、道具が無い所です。この2つを取り違えると、直しても何も変わりません。
会計事務所の例で書きましたが、建設でも製造でも、工程に分けて「道具が無い所」を探す見方は同じです。実際の解決例はこちらにまとめています。
理由③ 標準化が、現場の判断まで固めてしまう
属人化を解消しようとして、手順を全部そろえにいくことがあります。ところが現場では「この取引先はこう来るから、こうしておく」という判断が日々行われています。これを全部揃えようとすると、うまくやっている人ほどやりにくくなります。
分けて考えると進めやすくなります。
- そろえる:進み具合、期限、いまどこで止まっているか
- 人に残す:その取引先に合わせた判断
全部を標準化しようとして失敗する会社は、この2つを一緒に扱っています。
催促は、AIでは解決しません
資料が出てこない。連絡しても返ってこない。ここをAIで解決できるとは言えません。
催促は3段に分かれます。
| 段 | AIで解けるか |
|---|---|
| 誰が何を出していないかを把握する | 解ける。AIというより台帳の仕事 |
| 連絡する | 解ける。AIがやるのは文面を整えることくらい |
| 相手が動く | 解けない。相手の都合による |
取引先5社を想定して、止まっている理由まで書き出してみたところ、5社とも理由が違いました。
- 先方の担当者が代わって、引き継がれていない
- 過去の判断がどこにも残っていない
- 資料は届いているが、整理されていない
- 月末まで着手できない
- 連絡しても返信が来ない
催促の自動化が効くのは、このうち1社です。共通していたのは、いまどこで止まっているのかが誰にも見えていないことでした。だから先に作るのは、催促の仕組みより、止まっている場所が見える台帳になります。
作るのは2つだけです
新しいアプリは増やさず、スプレッドシートで足ります。
| 役割 | 中身 | |
|---|---|---|
| 上段 | 段取りが回る | 進行台帳と週次の計画 |
| 下段 | 分からないことを引ける | 判断のルールと、よくある質問 |
上段と下段は別々に回します。片方が止まっても、もう片方は動くからです。
上段は、案件ごとに工程・期限・いまの状態を1行ずつ持ちます。届いたメールを読ませて、状態が変わる行だけを更新します。このとき「メールが来たら完了」にしないのがポイントです。「来週になりそうです」という連絡を受領扱いにすると、台帳が事実と合わなくなります。内容を読んで判断させます。
下段は、聞かれて答えたことを1行ずつ貯めます。答えが無かった質問は人が答えて、そのときだけ増やします。AIには、台帳にあることだけで答えさせ、無いときは「無い」と言わせます。推測させないことが、所内で使える状態の条件でした。
先に決めておくこと:置き場所
AIを入れる前に、何をどこに置くかを決めておきます。決めずに始めると「これは入れていいのか」で手が止まります。
| 区分 | 中身 | 決めること |
|---|---|---|
| 一般の知識 | 法令、書籍、公開資料 | 自社の情報が入らないので、比較的自由に置ける |
| 取引先ごとの判断 | 判断のルール、その客のクセ(社名が入る) | どこに置くかを会社として先に決める |
契約の形も確認します。法人向けの契約では、入力が学習に使われない扱いのものが多いですが、事業者ごとに違います。使う予定のサービスの規約で確かめてください。取引先から聞かれたときに答えられる状態にしておくためです。
まとめ
属人化がなかなか解消しないときは、次の順で見直すと進みます。
- 手順を、作業の途中で出てくる形にする
- 工程に分けて、道具が無い所を探す
- 揃えるものと、人に残すものを分ける
標準化より先に、いまどこで止まっているかを見えるようにしてください。見えてから、どこを揃えるかが決まります。
御社の場合はどう組むか
取引先ごとのクセや工程の違いは、御社の中にしかありません。仕組みの部分はこちらで作ります。
読んで「自分で作れそうだ」と思われたなら、それがいちばんです。詰まったところだけ、聞きに来てください。
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